「日韓友情年2005」を振り返って
ソウル ジャパン クラブ(SJC)
理事長 高杉 暢也
「日韓友情年2005」記念行事は日本では平山郁夫画伯を委員長とする実行委員会、韓国では朴晟容クムホ文化財団理事長を委員長とする諮問委員会が主催組織となりスタートしました。これを現地でスムーズに推進する支援組織として、官民一体の「日韓友情年2005現地推進本部」が2004年7月に発足し、パンフレット作成や公式サイト(http://www.jkcf.or.jp/friendship2005/)の立ち上げなどを始め、学術、芸術、スポーツ、政治、経済、社会などを含む幅広い分野において支援活動を推進してきました。
日本側の実行委員会主催事業推進のシナリオ、「序」:知りあい=日韓友情の出会い,「破」:汗を流しあって=日韓友情の体験,「急」:唱いあう=日韓友情の未来に沿って現地推進本部長の立場からこの一年を振り返ってみたいと思います。
「序」:知りあい=日韓友情の出会い
1月25日の東京での日本側開会式に続いて、27日ソウルで「日韓友情年2005」開会式が開催され、盧武鉉大統領は「両国が隣同士ということは避けられない事実である。であるならば仲良くやっていく事が大切で、我々はそれを邪魔するものを取り除いていかねばならない」と誠に平易な言葉で、未来志向の両国のあり方を簡潔明瞭に挨拶され日韓両国から共感を得、グッドスタートをきりました。
2月に入り国土交通省と韓国文化観光部主催の「韓日交流大祝祭」(SJC後援)が開催され、特に、この中で行われた劇団:絵生の舞台劇「友情」は白血病に侵された中学二年生の少女と在日韓国人少年をはじめとするクラスメート達の友情物語で観衆に深い感動を与えました。
3月初旬に竹島(独島)、4月に歴史教科書と政治問題が浮上、盛り上がりつつあった記念行事に水を差すことになったことは甚だ残念でした。これらの政治問題で、韓国萬歳樂公演やNHK交響楽団公演の順延、いくつかの地方青少年のスポーツ交流会が中止になるなどの影響が出ました。中学、高校生にネガティブな精神的打撃を与えたことは、若い世代に「進もう未来へ、一緒に世界へ」の合言葉がむなしく聞こえたはずです。しかし、このような状況の中で、強い意志で日韓経済人会議を開催し、日韓FTA締結の早期実現を提起したこと、また、松竹大歌舞伎近松座韓国公演が開催され、人間国宝中村鴈次郎演じる「曽根崎心中」が好評を博したことなどに日韓友情の本当の出会いを感じました。
「破」:汗を流しあって=日韓友情の体験
5月初旬のソウル市主催の「ハイ ソウル祭り」にSJCはこれまでと同様に招待を受けました。政治問題の影響を考慮し、ガードマンを雇うなどセキュリティーには特別の配慮をしましたが、日本人学校生徒の演じる「よさこいアリラン」には韓国側からも格段の大きな拍手が起こり自信を持ちました。この時期、開催されていた「愛知万博」期間中に日本政府は韓国人にビザの免除を行い、「愛知万博」会場では「韓国デー」は言うに及ばず韓国館の一番人気などグッドニュースが続きました。残念なことに5月下旬に韓国側の朴晟容諮問委員長ご逝去の訃報に接しました。強いリーダーシップと柔和なお人柄を兼ね備えた朴晟容委員長だけに大きな痛手でした。(後任には崔相龍前駐日大使が選任されました)。
6月にはNHKとSJC共同主催の「NHKのど自慢インソウル」が世宗文化会館で開催されました。多くのメンバーがまさに汗を流しあって韓日カラオケ大会で培った経験を活かし、ボランティア活動で奉仕しました。棚ぼた的ですが現地日本人会(SJC)からの費用負担はゼロという海外NHKのど自慢大会支援の新しいモデルを築いたことも誇りに思います。そのような裏事情は知らせるべくもありませんが、7月の日本での放送は大変好評のようでした。グランドヒルトンホテルで開催された「日韓国交正常化40周年国際学術会議」にはSJCからも多くのメンバーが参加して政治、経済、歴史・社会の3部門で熱い議論を交わしました。ここでも日韓FTA締結の早期実現が提起されました。7月、8月には夏休みを利用して、地方自治団体の各種イベントが行われ、これらの体験を通じて両国の隅々まで友情は広まっていきました。
「急」:唱いあう=日韓友情の未来
秋に入ってまさに「芸術の秋」に相応しく数多くの展示会、コンサートが開催されました。9月初旬から10月末までソウル歴史博物館において日本民芸館とソウル市との共同主催(SJCも協賛)で「うれしい朝鮮民画展」が開催されました。日本における韓国文化の有識者:柳宗悦が自ら集めた朝鮮半島の民画を韓国で公開展示するもので、民画展史上最高の約7万5千人の見学者を記録したようです。
札幌交響楽団、広島交響楽団に続いて韓国の生んだ世界的マエストロ:鄭明勳指揮の東京フィルハーモニー交響楽団が素晴らしい音色を奏で、日韓音楽ファンにとっては格別な秋になったことと確信しています。
9月中旬に開催された日韓交流お祭り・韓日祝日ハンマダンにはSJCからは「よさこいアリラン」がパレードに参加し会場を盛り上げ、両国の友情の高まりを感じました。10月8日にSJCは大使館広報文化院と共同主催で「第3回日韓カラオケ大会」を開催しました。200人からの応募を頂き、のどを競う歌唱賞は5人のうち4人が韓国人、グランプリは3年連続で韓国人ということで韓国人の歌のうまさを再確認させられました。
日韓文化交流基金金賞受賞の金利恵さんが構成・振り付け・演出をし、韓舞する「白い道成寺」(SJC後援)が11月初旬に湖厳ホールで公演されました。この「道成寺」説話には古代、土着日本人と渡来人の葛藤の歴史をその源とすると言う説もあるようで日韓の古い繋がりを感じさせます。日本の古典音楽(邦楽)と韓国の伝統音楽(国樂)に韓舞が見事に調和にして日韓の文化に新しいページを開いたと確信しています。これから予定されている戦後初、65年ぶりの宝塚歌劇公演も韓国人に新たな感動を与えることでしょう。
終盤に入った10月中旬に小泉首相が靖国神社参拝を実施しました。「日韓友情年2005」の格別な年という観点からは画龍点晴を欠くことになったのではないかと危惧します。しかし、12月には友情年の最後を飾る大型事業として日韓交流コンサート(NHK−MBC合作)と未来に向けた日韓シンポジュームを開催しフィナーレとなる予定です。
この一年を振り返って見て、竹島(独島)、教科書、靖国と言った案件は依然、両国に根強く横たわる政治問題であることを思い知らされました。しかし、このような難問が立ちはだかろうと、700件以上にも及んだ「日韓友情年2005」記念行事実行は日韓友好親善の未来に向けての踏み台になったと確信しています。 現地推進活動を通じて、SJC、JETAAなどを中心に両国の民間人が核となり、大使館などの協力を得ながら「易地思之」の精神で「進もう未来へ、一緒に世界へ」を合言葉に前進することが、両国の経済、文化の交流ならびに発展に繋がる鍵であることを強く感じました。
SJCメンバーの皆さんのご理解、ご協力に心から感謝申し上げます。
(05、11、11記)
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