第7回「日韓高校生交流キャンプ」に参加して

韓国富士ゼロックス(株)
高杉 暢也

 日韓経済協会と韓日経済協会は1985年から20年間続けた「大学生交流」に替え、2004年1月から「高校生交流キャンプ」を開催しています。
 「高校生交流キャンプ」の狙いは(1)未来志向の日韓関係構築の基礎として若者の人的交流促進を図る、(2)共同作業を通じて、双方の違いと共通点を自らの感覚により認識する、(3)互いの良い点を1つでも多く見つけ、物事を多面的に捉えることを学ぶ、(4)国境を越えて同年代の若者同士が真の友情を育むことにあるとされています。

 さる8月4日から8日まで第7回「日韓高校生交流キャンプ」がソウルのラマダ・ソウル・ホテルで開催され、小生は4日目に行われる事業発表の審査および講評委員として招聘を受け、参加の機会を得ました。今回の参加者は日本側38名(男15、女23)、韓国側49名(男24、女25)の87名で最近の傾向の女性優位がここでも見られました。

 両国ミックスで9チームに編成されて事業企画立案、発表をするのですが、そのスケジュールはかなり過酷なものに思えました。
 到着した日の晩にすぐ、事業アイテムを論議して決め、翌日は朝から市場調査に入り、その日の内に市場調査結果のまとめをしなくてはならないのです。3日目の午前中に事業戦略を立案し、午後には発表準備に取り掛かり、次の4日目の午前中には発表すると言うスケジュールは相当ハードで若さ無くしてはできないものです。

 発表された9つの事業を大別すると観光ビジネスが5つの他、食品ビジネス、ファッションビジネスと言う普遍的なもの以外に、目を引いたのは社会福祉事業、農業サポート事業など現在の日韓両国が抱える社会問題に取り組むビジネスも発表され、審査委員も若者の鋭い感覚に驚嘆させられました。審査はビジネス評価とチーム行動(プレゼンティーション)評価を基準に行いましたが、重要なポイントは日韓の特徴や文化を融合していること、かつ独創的であることに置かれています。過酷なスケジュールで発表前の晩は殆ど徹夜で準備をしたにも拘わらず、各チームともプラカードはもとより、寸劇や手品のパーフォーマンスなどの工夫を取り入れ、チームワークのよさを披露してセールスポイントをアッピールしました。正直な話、各チームとも日韓の特徴や文化をよく融合させたビジネスを企画し、プレゼンティーションでも独創性を発揮していましたので甲乙つけがたく審査も大変苦労しました。

 優勝は「セノア」チームの「BREAK-THE-WALL-PROGRAM」と言う、今日、両国で内に閉じこもり、社会性を失っているパソコン、ゲーム中毒者を如何に社会に復帰させるかという社会福祉事業でした。両国が抱える現在の社会問題=パソコン、ゲーム中毒者を如何に社会に復帰させるかという着眼点が良かったことと、事業の中味もインターネット相談サービスを始め、社会復帰を目指す具体的なプログラムを盛り込んだレインボーキャンプ、そしてコスト計算などの提案は高校生とは思えない程のきめの細かさで全審査員一致の優勝評価でした。
 審査員特別賞は「IIWA」チームの「陶磁器体験 伝統Cafe」で、きめ細かい市場調査と分析により、健康に配慮した商品(Cafe)と両国の伝統を活用した陶磁器(Ceramic)の活用で「東洋のStar Bucks」を狙った志向が高い評価を得、審査員特別賞に繋がりました。

 朝9時から午後4時までの審査に参加しただけでしたが多くのことを学びました。
 先ず、この「日韓高校生交流キャンプ」は単なる物見遊山のプログラムでなく、上述のような狙いを、ビジネスを企画、立案すると言うアカデミック、かつプラグマティクなプロセスを通じて体験すると言うプログラムです。これは小生の下種の勘繰りですが、当初このプログラムの実施には、ビジネス経験のない高校生がこの短い期間でそんなことができるのだろうかと言う不安があったのではないかと思料しました。
 しかし、今回参加して、
(1) 参加した高校生は決して選考で選ばれたのでなく、ボランティアで希望した高校生
   ですが、この4日間と言う短い時間の中でビジネスの種を探し、それを企画、立案
   できると言うことを実証したこと。
(2) 企画、立案したビジネスの精度は粗いものの、市場調査、分析を通じ、商品、価
   格、プロモーション、採算性などビジネス要素項目を網羅していること。
(3) 企画、立案したビジネスを人前で理解を得る工夫をしてプレゼンティーションした
   こと。
 などを目のあたりにして、アナログ叔父さんの下種の勘繰りは杞憂に終わりました。
 勿論、当初は試行錯誤で推進され、多くの失敗と経験を元にここまでプログラムを立ち上げてきたのではないかと推察しますが、併せて、デジタル時代の高校生の多様な知識、行動力には驚きと同時に日韓両国への未来に明るい希望が持てることを確信しました。

 折角、ここまで立ち上げたこのすばらしいプログラムを更にもう一歩前に進めて、これらのビジネスが発表のまま終わるのではなく、実現化に向けての支援をすることが両協会に求められる新たな役割ではないかと思いました。加えて、いくつかのチームのSWOT分析に、「両国が持つ相手国への偏見」がビジネスのリスクであると強調されていました。現実の問題であることには違いありませんが、彼らにとっては大変複雑な、悲しい指摘だったと思います。最後の審査の結果発表及び講評の時、この問題をあなた方若い世代で解決して欲しいとコメントしましたが、次代を担うこれら若い高校生にこのような障害を取り除き、大きな夢を与えるのが我々の世代の役割ではないかと痛く感じました。

 このキャンプを通じて、国境を越えて同年代の若者同士が真の友情を育む強い絆を築いたと思います。今回を含めこれまで700人に上る両国の高校生の絆が築かれました。 更にこの絆が広がっていくことを願って止みません。
 このような企画を立案、推進した瀬戸前会長はじめ両協会のスタッフのご尽力に敬意を表すると同時に、微力ながら貢献できたことを光栄に思います。

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