食欲の秋、芸術の秋

国際証券 Seoul支店長 中村貞行氏

 『天高く、馬肥ゆる秋』となった。

 韓国では、食堂のテーブルに“翠色の爪楊枝”が置いてある事が多い。一見プラスチック製に見えるこの爪楊枝、実は“澱粉”を固めたもので、アルベールビル五輪で『土に還る澱粉食器』が正式採用されたのに端を発し日本で開発された商品だ。しかし、今では日本より韓国で良く見かける。韓国で広まった理由は、残飯回収業者が爪楊枝ごと残飯を回収し農家に売却し、このために数多くの家畜が死んだことに起因するらしい。最近では、環境対策や資源節約の面からも注目されている。

 秋はまた『芸術の秋』でもある。

 私の手元に某劇場の招待券があるが、韓国では芝居や音楽の“無料チケット配布”が慣習化している。主催者が『劇場を満員にする』という発想から出発するので、残りそうなチケット分を客に配るためだ。これに関し先日『中央日報』が記事を載せていたが、内容を要約すると【イム・ヨンウン氏演出の『カムサハムニダ』を新宿・紀伊国屋ホールで見た。500席の劇場は1席1000円だが、売れずに残っても無料で観客を集めない。更に驚く事は「日本の観客は無料で公演を見るのを一種の羞恥と感じている」こと。記者は顔が赤くなった。以前会った韓国の劇団広報担当者から「評論家さえいつも無料チケットを要求し苦労している」と聞いていたからだ】

 そして記事はこう結ばれていた。

「観客らが無料チケットを羞恥と感じる“文化の時代”が韓国にいつ来るのだろうか?」   

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