初めての“秋夕”

国際証券 Seoul支店長 中村貞行氏

 滞在4年にして初めて、“秋夕(チュソク:旧暦の盆)”を韓国で過ごした。

 鉄道や飛行機は半年前から既に満席状態となり、例年、各高速道路は殺人的とも言える大渋滞が発生する。ある調査によると、『“秋夕”の移動には車を利用する』との答えが70%を超しているそうなので、渋滞するのも当然ではあるが…。

 その代わり、ソウルの街を行き交う車の数は普段では考えられないほど少なくなり、商店街も殆どの店がシャッターを下ろしている。まさに、人口1000万の大都会が一夜にして地方の“100万都市”に変身してしまったかのような風景だった。

 しかし、韓国の民間調査機関『韓国ギャラップ』が全国の成人男女1500人を対象に行った世論調査によると、この一大国民行事“秋夕”を国民の10人に4人は歓迎していないとの結果が出た。調査によると、「秋夕が楽しい」との回答は60%で「楽しくない」が40%。「楽しくない」とする最たる理由として、男性は『経済的負担(66%)』を、そして女性は『家事の負担(49%)』を挙げていた。

 確かに、“旧正(クジョン)”と“秋夕”での贈答は日本人の常識を遥かに超えるし、祭祀(チェサ)での祭壇への供え物も並大抵ではない。しかも、祭祀を行う男性連のために女性達は明け方前から立ち通しで料理を作り続けなければならない。

 「私のような長男は祭祀を行わなければ周りから何を言われるか分からないので仕方ありませんが、末の弟なぞは“秋夕”を利用してグアムへ家族旅行ですよ」

 韓国の伝統行事も、時代と伴に変化しているようだ。

戻る