歴史認識とW杯 

 「ハルピン駅に寄ったのですが、記念碑も何もなくて少し“ガッカリ”しました」

 と言うのは、中国出張から戻った知人の韓国人。

 92年前、中国ハルピン駅で朝鮮総督府初代長官・伊藤博文が韓国の独立運動家・安重根(アン・ジュングン)によって暗殺されたのはご存知の通りだが、先日、某オークションでこの安重根が決行1ヶ月前に書いた「澹泊明志寧静致遠」の『書』が2億1870万ウォン(約2200万円)という『書』の分野としては最高価格で落札された。

 この価格が「高いか?安いか?」の判定は専門家に任せるとして、多くの日本人にとっては単なる“暗殺者”として記憶された人物の『書』が、韓国人にとっては“救国烈士”として歴史に名を留める偉大な人物の『書』であることには間違いない。

 現代日韓史の認識においてまだまだ隔たりのある両国だが、これを証明するかのように、先日、ソウル大学と東京大学が共同実施した『靖国神社参拝』や『歴史教科書問題』などについてのアンケート調査の結果を見ても、東大生の40%が『韓国の歴史教科書修正要求』を「韓国の内政干渉」と考えており、『小泉首相の靖国参拝』に「否定的」な回答も16%に過ぎなかった(ソウル大生:72.8%)。

 その一方で、『ワールド・カップ(W杯)開催後の両国関係』に関する質問では、両校の学生とも半数以上が「肯定的」な見方をしているのだから興味深い。

 W杯を契機として全ての問題が好転するとは思えないが、今回のW杯共同開催が両国に齎らすものは単なる“経済効果”だけでは推し量れない気がする。

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