警鐘 

 「現在の韓国経済は、80年代末の日本のバブル初期に似た様相を見せ始めており『日本型の長期不況』に繋がりかねない」と、三星経済研究所が先日発表した『住宅価格急騰の影響と対策』と題した報告書の中で主張している。

 同報告書は「最近の住宅価格動向と実体景気・物価・金融の動きは日本の80年代末のバブル初期に類似している」とし、「政府が今年4度にわたる『投機抑制政策』を発表したが効果は不十分」であり、「不法な不動産取引を行った者を厳罰に処する一方、分譲権の転売を時限的に禁止し金利引上げなどの方策を検討する必要がある」と主張しているが、ここで日本のバブル経済を簡単に振り返ってみたい。

 ご存知の通り、日本の低金利政策は1985年のプラザ合意から始まり、86年7月に「1ドル=150円」に差し掛かると財界から「円高不況論」が湧き上がり政府に対して「景気浮揚策」を要請し始めた。また、米国は自国の貿易赤字を解消するため日本に対し「内需拡大策」をとるよう圧力を加え始めた。

 こうしたことから、日本銀行は86年11月に公定歩合を3.5%から3.0%そして87年2月には2.5%の史上最低水準まで引き下げ、一方、大蔵省は87年5月に6兆円という巨額の財政投入を実行した。
 当時、企業は円高で輸入原材料を安く購入しており、国内景気は回復しかけていた。そんな状況の中で金融・財政の双方から景気対策が実施された為、猛烈な勢いでバブル経済を育てることになってしまった。

 金利低下で行き場を失った企業の余剰資金や低金利で調達された資金が証券・不動産市場に流入したために一大“財テク・ブーム”が巻き起こった。

 証券市場では、ご存知の通り日経平均株価が89年末に38915円の最高値をつけたが、プラザ合意以降の僅か4年間で3倍にも値上りしたことになる。また不動産市場を見ても、企業の不動産投資額が84年の4150億円からバブル末期の90年には13兆170億円へと31倍にも膨らんでしまっていた。ゴルフ会員権が異常な値上がりを演じたのも、企業による会員権取得と決して無縁ではない。

 同研究所のチェ・ヒガプ首席研究員は「住宅価格のバブルが弾ければ、担保価値の下落によって借入金返済の負担が増大し貸出・債務行為に困難が生じ、クレジット・クランチや個人破綻の発生によって金融システムの不安に繋がる」と警鐘を鳴らしているが、この主張を裏付けるように財政経済部の関係者は「個人負債が増えすぎ、今、金利を上げれば個人破産の恐れがある」と某新聞に語っている。

 こうした中にあって、韓国銀行の朴昇(パク・スン)総裁も先日開催された経済動向懇談会の席で「米国-イラクの緊張、過剰流動性、個人への過剰融資、不動産急騰、株価下落、ドル高などの経済不安要因が混在し、どのように対処すべきか混乱している」と現時点における金融政策の難しさを吐露している。

 世界経済が不透明感を強めつつある中で、高成長を誇ってきた韓国経済の行方にも暗雲が立ち込め始めてきたような気がする。

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