板門店


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   冷戦の象徴であるベルリンの壁がなくなった今、分断国家が 対峙(たいじ)する唯一の最前線は板門店だけである。

   韓国に赴任する前に見た板門店が出てくる韓国映画「JSA(Joint Security Area)」のことが ずっと心の隅にあったが、韓国に来てからは映画を見た時感じた緊張感とは無縁の日常の中で生活していた。

   ある日思い立って、自分の目で板門店を見たいと思いツアーを申し込んだ。板門店には政府 から許可を受けた旅行会社のツアーでしか行けない。ソウルからわずか1時間半の距離。非武装地帯 (DMZ)を挟んだ至近距離で2つの国家の巨大な国旗掲揚塔に国旗が翻っているのを見て、複雑な気持ちになった。

 
(鄭在貞の解説)
  韓国と北朝鮮の非武装地帯(DMZ)内にあり、 主に会談のために利用される。朝鮮戦争(1951年 10月~53年7月)の休戦協定が結ばれた場所だ。 ソウルから西北48 キロメートル、平壌から南方 180キロ、開城から東10キロの距離で、北緯37度 57 分、東経126 度40 分に位置している。
  楕円(だえん)形になっている同地帯は、最も 幅の広いところで直径1キロ、最も狭いところは 同800メートルとなっており、その中心を休戦ラ インが走っている。
  板門店という名前は、高麗時代より板戸の橋 (板門橋)、または板材で作った門があったことに 由来する。
  板門店は、東西冷戦の産物である軍事停戦委員 会と南北和解の象徴である自由・平和が共存して いる複雑で微妙な区域である。

 


  板門店は世界史上最も長く休戦を管理しており、 いまだに冷戦の影が色濃く残る「凍土」でもある。 そのため、韓国と北朝鮮の軍隊が共占共有し、共 同管理をするという特性を持っている。ただし、 警備網は休戦ラインを挟んで両者が分割して担当 する。
  板門店は、ほんの数年前まで南北それぞれの体制 の優越性を示すための場所として活用されていた。 ところが休戦が長期化するにつれ、板門店は交渉と 接触の場所として利用されることが多くなった。
  最近では、韓国、北朝鮮政府の許可を得た上で 板門店を通じて南北を往来する両国民や外国人の 数が増えている。両者の一定な統制のもと、分割 警備区域まで観光客が入っていくことができる。 凍りついた板門店に春が訪れる日、朝鮮半島に平 和が定着する。