大統領産業褒章受章のご挨拶

ソウルジャパンクラブ
前理事長  高杉 暢也

 

 3月15日の商工の日に韓国政府から大統領産業褒章を授与されました。

 受章理由は(1)韓国富士ゼロックスを外国投資企業のモデル企業に再建した功績と(2)ソウルジャパンクラブ(SJC)理事長として日韓友好親善並びに経済発展のために貢献した功績とされています。
 これらの功績は私一人の力ではなく周囲の皆様のお力添えがあったからこそと深く感謝しております。これまでを振り返ってお礼の挨拶に代えさせていただきたいと思います。

 私は1998年のアジア通貨危機による韓国経済混乱時にコリアゼロックス(現、韓国富士ゼロックス)(株)を再建するために赴任を命じられました。その時は「何故、俺が韓国に・・・!?」と不承不承での承諾でした。しかし、赴任してまもなく隣国韓国が日本にとって大変重要な国であることを学び、自分の浅学非才を恥じました。爾来、自ら会社行き詰りの原因を分析し、戦略を打ち出すとともに会社の社命(ミッション)を定めました。
 会社の社命は「韓国富士ゼロックスは韓国のお客様のオフィス事務生産性を高め、韓国経済の発展のために寄与する」として、遅れている韓国のオフィス生産性の改善を謳いました。一方、弊社、富士ゼロックス(株)にはテリトリーとするアジア・オセアニア地域共通の会社理念として「強い、面白い、優しい会社」構想があります。

 この「社命」と「理念」を実現化するために、これまで不透明であった経営をオープンにし現地社員のやる気を起こしました。具体的には(1)韓国オフィス市場にデジタル化を推進し、顧客のオフィス事務生産性を高めること、(2)仁川工場の「R&Dと生産の一体化力」の強みを生かし輸出売上を上げること、(3)脆弱な労使関係の改善を図ることでした。

 これを具現化するために、見る、聞く、読むなどの5感機能をフル活用しました。即ち、社内で(1)四半期ごとにビデオの活用により業績や出来事を開示、(2)四半期ごとに役員・部長合宿を開催、(3)年2回、役員と一般社員との話の広場(TALK PLAZA)を開催、(4)四半期ごとに労使協議会開催、(5)度重なる(サンギョプサル会長)現場廻り(6)社内インターネットの活用などにより現地社員との相互コミュニケーションを通じて経営を透明にし、労使和合を図り、「強い、面白い、優しい会社」作りを進めてきました。

 この結果、レイオフも賃金カットもせず1年後に黒字化を果たし、以後、増収増益ならびにROA改善を続けています。また、2001年には金大中大統領の新労使文化構築政策で外国投資企業として初の大統領表彰を受賞しました。以来、5年連続無交渉賃金妥結をはじめ、韓国オフィス市場のデジタル化を牽引し5年連続「顧客満足度NO1」(韓国能率協会)を維持し続けています。また、CSR(企業の社会的責任)の観点からも全社(生産、販売)部門で「ISO14001認証」取得、全経連1%加入(ハンサラム会)など社会貢献活動を続け、「正しい外国企業賞」を2度受賞(2001年と2004年)するなど外国投資企業のモデルを作りあげることができました。

 一方、皆様のご推薦で2003年度よりソウルジャパンクラブ(SJC)理事長を3年連続で務めました。その間、大統領直轄国民経済諮問委員、ソウル市長外国投資諮問委員などを兼務して、政府へビジネス隘路事項改善のための建議や外国企業投資誘致活動などを皆様と一緒なって推進し、多少なりとも韓国経済発展に貢献をしてきたのではないかと自負しています。
 特に昨年度は「日韓友情年2005」の記念すべき年でありましたが、竹島、教科書、靖国神社参拝などの政治問題で日韓関係がギクシャクする中、現地推進本部長として「NHKのど自慢イン・ソウル」の誘致、開催をはじめ700余件に及ぶイベントを推進いたしました。

 以上のような地道な活動が日韓両国の文化・経済交流促進に貢献したと見なされ今回の栄誉に浴した理由ではないかと思料しております。
 常に日本人として義・勇・仁・礼・誠の精神で努力してきましたが、いずれにしましても私一人の力ではなく皆様のご理解とご支援があってのことであると心よりお礼申し上げる次第です。
感謝の気持ちと現在の心境を和歌にしました。

両民の愛でし桜とあらまほし          
          ケナリとともに匂ひ歩ゆまむ

 これからも両国の友好親善並びに経済発展のために微力を尽くしていきたいと考えています。また、多くの方々からお祝いと激励の言葉をいただきました。
 この紙面をお借りしましてお礼申し上げます・・・カムサハムニダ。