ソウル名誉市民称号の授与にあたり

金&張法律事務所
常任顧問 高杉暢也


このたび、ソウル名誉市民称号の授与にあずかり、10月28日に世宗文化会館での授与式で呉世勳ソウル市長から授与されました。

 今回授与されたのは 米国2人、英国2人、独国2人、カナダ2人、仏国1人、オーストラリア1人、ニュージランド1人、メキシコ1人、ドミニカ1人、ナイジェリア1人、ネパール1人、日本1人の計16人です。

 資料(記録)によればこれまで50年の間に607人に贈られています。
そのうち日本人は私が40人目の受章者となるようです。
主な受章者は力道山(63年)、鹿島建設社主・鹿島守之助(64年)、駐韓大使・須之部量三(81年)、東京都知事・青島幸雄(96年)、細田学園長・細田早苗(97年)各氏などであとは殆どが在日韓国人の功労者です。
ここ10年日本人受章者はいなく、私が10年ぶりの受章者とのことで駐在員のような存在の私に授与するとは韓国の対日感情(政策)も変わってきたなという思いがします。
これも皆さんの叱咤激励があっての事と感謝しています。

 受章理由は以下の業績が高く評価されたことによるものです。

(1)韓国富士ゼロックスを「強い、面白い、優しい会社作り」コンセプトで最優秀外国企業に育て、韓国経済へ貢献したこと
具体的には①サンギョプサル会長として良好な労使関係を構築したこと、②韓国の事務機市場のデジタル化を推進し、顧客のオフィス生産性向上を図ったこと、③高品質の複写機を開発・生産し、輸出に貢献したこと。④中国の台頭で、「韓国の日中サンドイッチ論」が高まる中、韓国の「R&Dと生産の一体化力」の強み活用する「日中韓垂直分業」を富士ゼロックスグループの中で実現させ、他社への模範を示したこと。

(2)ソウルジャパンクラブ(SJC)理事長を3期連続で務め日韓友好親善へ貢献したこと
・理事長方針として①全会員のための SJC  ② 日韓友好親善のための SJC ③ グローバル化の中のSJC を掲げ、特に、③ グローバル化の中のSJC に重きを置き、これまでプレゼンスの低かったSJCを 米国商工会議所およびEU( 欧州)商工会議所に匹敵できるレベルにまで高めたこと。
・大統領経済諮問委員として盧武鉉大統領経済政策へのアドバイス。
・「日韓友情年2005」年度に始まった「日韓交流おまつり」を継続して推進する立役者の役割。

(3)ソウル市の外国人投資諮問委員会(Foreign Direct Investment Advisory Counsel)メンバーとしてソウル市の国際化運動へ多大な貢献をしたこと
FIACの日本代表メンバーとして2004年度から活動し、ソウル市の計画する①清渓川プロジェクト、②漢江ルネッサンスプロジェクト、③学校プロジェクト、④梨泰院プロジェクト、⑤ソウル市美化(看板・広告)プロジェクト などへ数々のコメント、アドバイスをしてきたこと。

 その一例として韓国経済新聞へ掲載したコラム(2007.12)を下記に紹介します。
このコラムに書かれているように、「Renaissance」と言う語は「Re(再び)」+「nessance(誕生)」を意味するフランス語ですが、直訳すれば再生の意味で、「人間復興」をさします。「漢江ルネッサンス」というからには漢江をただ見栄えのよい箱・モノを作って外観を飾るのではなく人間尊重の町つくりをする必要があります。そこで、身近の東部二村洞の新洞和アパートの漢江沿い近くにある公園(この公園は一度、近くの教会のための駐車場に改造されていたのです)の復活をFIACミーティングで訴えたのでした。その結果、今、子供公園として蘇えりました。多くの親子が楽しそうに遊んでいる様子を眼にするにつけ、これが「漢江ルネッサンス」なのだと羽化登仙の気分です。

漢江ルネッサンス

 私の健康法の一つは毎朝の約1時間のウォーキングと週末の自転車サイクリングである。東部二村洞に住んでいるので漢江縁で楽しんでいる。師走に入った今は夜明けも遅く日の出は7時半頃だが、老若男女を問わず多くの市民がウォーキングとジョギングを楽しんでいる。鼻歌を歌いながらのおじさん、パリパリと急いで歩くおばさん、自転車を飛ばす若者などそれぞれに個性がある。中でもお年より夫婦が手をつないでウォーキングしている姿は日本では見られない微笑ましい光景である。本当に韓国人はウォーキングやジョギングが好きな国民だと思う。
それにしてもこの漢江縁の整備されたウォーキング・ジョギング道路はすばらしい。

 この3月、呉世勳ソウル市長は私もメンバーとなっている外国人投資諮問委員会(FIAC)で “漢江をロンドンのテムズ川、パリのセーヌ 川を飛び越える世界的な観光資源にする自信がある”と述べ、「漢江ルネッサンスプロジェクト」を発表した。

 「漢江ルネッサンスプロジェクト」計画の目標は、漢江の自然美をいかし、市民たちが簡単に訪れる休息の場として漢江を活性化しようというものだ。計画によれば、“来る2009年までに漢江水辺のコンクリート堤防の上に、野生花と野草、蔦植物が植えられ、漢江に青い服を着せる。汝矣島支流の川と岩寺洞、江西など漢江水辺には生態公園が造成される。漢江の橋まで歩いたり、バスや自転車で川辺まで行けるよう、エレベーターが作られるなど漢江への接近も改善される。”と言う。
早速、今年の春には漢江水辺のコンクリート堤防の上に、野生花と野草、蔦植物が植えられた。例年夏の大雨や、台風シーズンになると漢江がオーバーフローし、プールやテニスコート、公園が無残にも水浸しになる光景を何回も見ているだけに本当に大丈夫だろうかと心配にもなる。

 この「プロジェクト」は音楽堂をはじめとする各種文化施設の整備や、ライトアップ等を通じた景観の創出、接近路の整備、渡江交通の確保等を施し、在韓米軍の平沢移転に伴う龍山基地の返還を機に、跡地を公園として整備する計画のようだ。 さらに夢は大きく、2030年までに竜山・西部二村洞と汝矣島の北端に国際広域ターミナルを新設し、中国・天津、上海などと漢江を結ぶ黄海航路を設置し、ターミナル周辺の経済・文化基盤施設も拡充し、ソウルを港湾都市に刷新すると言う。誠に壮大な計画で市民の夢も膨らむ。しかし、急激な都市化は人間を疎外しかねない。

 「Renaissance」と言う語は「Re(再び)」+「nessance(誕生)」を意味するフランス語である。直訳すれば再生の意味であるが、それは「文芸復興」、「人間復興」の意味である。

  歌を歌いながらのおじさん、パリパリと急いで歩くおばさん、手をつないで歩くお年より夫婦、楽しく大声で遊んでいる子供達、これら市民の楽しみを阻害しないような人間尊重の町つくりを是非、お願いしたい。

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