私の健康法・・・四つの秘訣

金&張法律事務所
常任顧問 高杉暢也


 今年の9月で私は馬齢を重ね67回目の誕生日を迎えたことになる。まさかこの歳まで健康で、隣国韓国で仕事をするとは夢にも思ってもみていなかった。人生とは「まさに万事塞翁が馬」を実感している今日この頃である。かくいう私は馬(午)年でもあるのだ。“健康の秘訣はなんですか”と訊かれれば“人参”ならぬ“ヒトとカスミとキムチを食っているからね”と答えることにしている。編集局からの強制的依頼で原稿を引き受けたが、私の健康法は他人に紹介するほど秀でたものではない。ただ当たり前のことを毎日規則正しく繰り返している「馬鹿のひとつ覚え」に過ぎない。一笑に付してお読みいただければ幸いである。

(1)体の運動
 ウイークデイの朝、6時15分前に目覚ましとともに目が覚める。最近は歳のせいの自然現象で目覚ましも必要なくなってきている。総合栄養サプリメントと尿酸値薬をアルカリイオン水で一気に飲み干し、トイレでスッキリ出すものを出してからアパートのフィットネスクラブに行く(注:この事前準備が私にとってはとても大事なのだ)。

 まず、軽いストレッチ運動をストレッチマシンで20分ほどこなす。その後、ジョギングマシンの上で30分、4Kmのソフトジョギングをやる(今年の6月10日、NHKの「ためしてガッテン」でソフトジョギングが全身健康によいことを紹介していたので、それまでのウォーキングから切り替えた)。全身汗だくとなり、カロリー計は360カロリーの消耗を表示している。その後、Bym Belter機で腹のデッパリを、そして棒体操で背筋を矯正する。「鶏鳴狗盗」といわれるように人には誰でも特技のあるものであるが、私だけの最もユニークな体操を紹介してみたい。それは35年ほど前、アメリカ駐在のときに時間節約のために自らあみ出した逆立ち(三点倒立)と腹筋、背筋運動を同時にこなす「逆立ち腹筋背筋運動」だ。二本の腕と首で体を支え逆立ちになって、数十回腹筋、背筋運動(写真参照)を繰り返すものだ。これで身体の血の気を循環させるとともにバランスを保ち、一日、シャキットしていられる。この歳になっても無難にこなせるのだから習性とはかくもめでたいものである。

 この一連の体操の後はサウナでじっくり汗を出す。これで体重はコンスタントに67~8Kg・・・体重コントロールは定点観測が一番よい。
 基本的には毎朝1時間ほどこの一連の運動を繰り返しているに過ぎないのだがこれがまさに健康維持の第一の秘訣なのだ。

 週末は、土曜日はゴルフ、日曜日はサイクリングでリラックスすることと決めている。ほぼ毎週土曜日はゴルフの機会を作ってプレーに励むことにしている。ゴルフは自然の恵みの中で気のあった仲間と適宜の運動をしながら楽しく過ごせる至福の時である。ここ2,3年スランプに陥っていたのだが最近、少しばかり調子が回復してきた。とはいえ、往年のレベルには戻らず、ボギーゴルフの域を脱出できない。“歳だから・・・”といいたいのだが、JV会やメーカー会などの常連メンバーには私より腕の立つ高齢者がいるので、スコアーの悪さを歳のせいにするわけにはいかないのである。ゴルフで何が一番大事なショットかといえば、“それは次のショット”とはかの有名なスピーク・ジョウダン博士の名言である。 思い通りにいかなくてストレスのたまることもあるが、“次のショット”を考え、あまり悔いを後に残さないようにするのが健康によいのだ。

 日曜日は漢江辺をサイクリングすることにしている。ソウル市の「漢江ルネッサンスプロジェクト」のおかげで漢江辺は、今、まさにルネッサンス(人間復活)が進行中で市民の憩いの場となりつつある。家族連れの散歩、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ローラースケーティングなんでもござれだ。ワールドカップ公園、森林公園、盤浦漢江公園などに続いてこの9月には汝矣島漢江公園がオープンした。(私はソウル市Foreign Investment Advisory Councilのメンバーで、いろいろコメントもしているが、その実現性のスピードにはびっくりしている)
毎日曜日、NHKの「日曜討論」を見終わって、アパートのある新龍山から東部二村洞を通って漢江辺を西へ、東へ約2~3時間サイクリングするのだ。漢江の四季折々の変化を楽しむことができる。インデアンサマーを感じさせた先週日曜日(9月13日)は橋の上に見事に木々を植え込んで人造緑化公園を作り上げた廣津大橋まで足を伸ばして堪能してきた(既存の橋の上に人造緑化公園を作るなどという発想は地震国の日本人には到底考えられない・・・韓国人は大胆でやることが早い!)。
週末、土曜日のゴルフ、日曜日のサイクリングでリラックスすること、これが第二の秘訣といえる。

 ところで余談だが、私の自転車・マウンテンバイクは2002年のワールドカップ開催の際、1200人の社員全員に配った代物である。もう7年近くも愛用しているが故障もなく「Made in Korea」にしては良品質の優れものである(写真参照)。(元勤務先の)富士ゼロックスはワールドカップの公式スポンサーであったのだが、サッカー観覧入場券を顧客優先で配布したため社員に回らず、労働組合から大クレームが起きた(こういった組合行動があまりにも韓国的なのだが)。この解決策として 労働組合員に秋夕記念品(これは今でも続いている韓国的恒例行事)の希望を聞いたところマウンテンバイクが第1位であった。清水の舞台から飛び降りる気持ちで「Team Xerox号」と銘打って大盤振る舞いをしたのである。「Team Xerox号」とは前輪が経営者で、後輪が労働組合、両輪がうまくバランスよく回らないと
会社経営はうまくいかないことを諭した名車である。この「Team Xerox号」のお陰で韓国富士ゼロックスには労使紛争がないのである。


(2)頭の運動
心身の健康維持のうち体(身)の運動は体調維持のためであるが、心、即ち、健全な精神維持のためには頭の運動が必要である。私のように歳をとった場合はなんと言ってもボケ防止である。ボケ防止のために俳句を嗜んでいる。一昨年の師走に訪韓した俳人・坪内稔典さんが“俳句的人間は短歌的人間比べて非真面目で横道に逸れる性格がある”と説いた。ソウル俳句会のメンバーを見れば“なるほど”と合点がいくのだが、俳句会に入らない私はさらに非真面目で横道に逸れる性格なのだ(反省はしているのだが)。
俳句は、五・七・五の言葉の調べと「季語」と「切れ」によって短い詩でありながら心のなかの場景(心象)を大きくひろげることができる芸術であると言われている。 俳句評論家の山本健吉氏は「俳句は滑稽なり、俳句は挨拶なり、俳句は即興なり」と説いているがまさに意を得たりである。昨今、科学の発達で日常の挨拶などの情報交換がインターネットを通じて行われることが当たり前になってきている。そしてそれは利便性、簡易性をもたらしたものの、誠に皮肉なことに人間性を疎外し始めてきているのだ。私はインターネットの非人間的情報交換のなかに、即興的な、ユーモラスな挨拶、即ち、きらりと光る個性(俳句)を付記することが人間性復活につながると固く信じ、ユーモラスな句を即興で作り(たびたびボケ川柳になってしまうが)メールに添えるように心がけている。
俳句は自己表現の芸術である・・・ボケ川柳もあるがいくつか紹介してみたい。

昨秋、名峰白頭山に登って、中国側から北朝鮮側を眺めて、
白露なる天池のかなたぞ拉致の国

健康維持のために寒さにめげず漢江辺をウォーキングして、
寒没日散歩四キロ漢江辺

ライフワークとなってきた「日韓交流おまつり」に思いを添えて、
ソーランもアリランも混ざって秋まつり

冗談ばかりの友人がシンガポールに転勤と聞いて、
四月馬鹿友の転勤ホンマなり

 柔和な表情ながら辛口コメントのソウル俳句会の山口玲禮子主宰がお世辞にも褒め、なぐさめてくれた句が次の二句である。
女房来てセーター洗って帰りけり
くしゃみして元のへの字にもどりけり

 ボケ防止のためには俳句のみならず短歌も嗜むことにしている。
3年前、今は亡き盧武鉉大統領から大統領産業褒章を授与された時に詠んだものがつぎの詩である。
両民の愛でる桜とあらまほし無窮花とともに匂い興さん
(注:桜は日本の国花、無窮花は韓国の国花)

 ボケ防止のための頭の運動のもうひとつは任天堂の「脳を鍛える大人のDSトレーニング」である。昨年のクリスマスに娘から“おとうさん、ボケないようにね”とプレゼントされた。東北大学の川島隆太教授が監修した計算20、計算100、名作音読、瞬間記憶、文字数え、人数数え、三角暗算、時間計算、音声計算に毎日チャレンジするのだ。今のところ脳年齢は42歳と判定され、気をよくしている。
このボケ防止の頭の体操ならぬ頭の運動が第三の秘訣といえる。

 以上、体の運動、頭の運動をすることによって心身の健康維持を図っているが、日本には昔から“気は長く、心は丸く、腹立てず、口慎めば、命長からうる”という言い伝えがあり、よく寿司屋の湯飲み茶碗やのれんなどに絵文字として印刷されている。日頃何気なく見過ごしているけれど誠にもって含蓄のある名言である。
こうありたいと一途に心がけている・・・これが第四の秘訣だろう。

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