韓・日「全国のど自慢大会」

毎週日曜日、昼のほぼ同じ時間帯にKBSとNHKが「全国のど自慢大会」を放送しています。「KBS全国のど自慢」は今から21年前の1980年11月30日からスタートし、明日6月10日で377回を迎える中継録画方式番組だそうです。一方「NHKのど自慢」は1946年「のど自慢素人音楽会」としてスタートし、今年で56年の歴史を持つ生放送番組です。この両人気番組とも非常に似通った企画ですが、それを休日の昼の憩いのひととき見比べていますと、そこに韓・日の国民性や文化の違いが見られます。従って番組を見て楽しむ以外に、外見は似ている両国民の文化の違いを知る事になり、その面からの楽しみも提供されています。
 
先ず共通点は韓国で「坊坊曲曲」、日本は「津々浦々」と言う言葉で現される様に、国内全土を広く巡回している国民的人気のあるロングラン公開番組である事です。今一つは、司会者の個性が番組を面白くさせている事です。韓国ではとても75歳とは思えない若若しさの人気コメデイアン宋海氏のキャラクターがこの番組を国民的番組にしているようです。一方、日本も発足初期に宮田輝というアナウンサーがこの番組の司会を担当し、人気を博しました。それは彼が後に参議院議員になったことでもこの番組の知名度の高さが判るでしょう。
 
「KBS全国のど自慢」は冬の間の室内公演を別にすれば、野外公演が原則のようです。出演者は老若男女を問わず、服装はチマチョゴリなどの民族衣装姿が多く、のど自慢に加えて、開催地の名産や手作りのご馳走などをお披露目し、司会の宋海氏も出演者とのやりとりを楽しんでいる感があります。時として出演者のお孫さんが突然演台にあがり、演奏者からおこずかいをもらうハプニングなども視聴者の親しみを呼び起こしている様です。グループ出演は殆どなく多くは個人出演ですが、皆さん個性的で、手振り身振りが大きく、のりがよく、会場では歌にあわせ必ずアジュンマやアジョシが一緒に踊っているのが見られます。このような自由奔放に主催者と出演者と観客が一体化して楽しんでいる光景から、韓国の人達の個性豊かな「根あかさ」を感じます。それと番組の作り方がいかにも大陸的な大らかさで、放送時間も12時10分頃からスタートし1時10分頃までで、1分1秒に拘ることがないようです。昔はここからプロの歌手になった人も多かったようですが、今は年に2回チャンピオン大会があるものの、あくまでも全国娯楽番組の様ですから、最優秀賞、優秀賞、奨励賞、人気賞があり、それぞれに農協商品と交換できる商品券が副賞として付き、審査状況はこれまたおおらかです。

「NHKのど自慢」は韓国のお祭り的な雰囲気と異なり、室内公演を原則としており、歌のうまさを競う事が主体の様です。日本でも出演者は老若男女を問いません。たまに着物を着たおばあさんが出演するものの、それも外出着の1つとしてで、文化遺産的な古い民族衣装姿はあまり見られません。又司会者との会話などでその土地の案内や名産などの紹介はあるものの、KBSのように名産やご馳走の実物などのお披露目や、演奏者とのやりとりなども見かけません。最近は手振り身振りの大きい若者も出てきましたが、その時でも出演者にあわせて会場でオジサン、オバサンが踊り出す光景はありません。勿論、会場と出演者との一体感はありますが、KBSに比べると大変おとなしく、もの静かな雰囲気です。あくまで競っている歌を観賞する事を狙いとしていて、韓国の様な娯楽番組構成では無い様です。放送時間も12時15分から1時までと1秒の狂いもありませんから、私の韓国人の友人に言わせれば、まるで形にはまったサイボーグだそうです。審査は厳選で「チャンピオン」と「特別賞」1組ずつがあるようですが特に賞金はありません。さらに全国規模の年1回「チャンピオン大会」があり、ここから坂本冬美や坂上次郎の様なプロ歌手も何人か生まれています。

このように両番組は国民的人気番組で、両国人ともモンゴリアン・ディセンデントとして外観が似ていることは勿論のこと、多くの共通点があります。然し双方の国民性や文化には微妙な差があり、それが参加者である出演者・観衆の考え方、楽しみ方や反応の差に現れています。この差は国土の位置する地理的条件差に伴う気候・風土の違いと、民族の歴史などが影響しているのでしょう。

交互にチャネルを回しながら、多くの共通点があるものの、考えが異なる人達が仲良く協力して共通目的を達成するためにはどうすれば良いのかを考えさせられます。
その鍵は国民性や、文化の違いを認め合った上で相手の立場・文化を理解し、「人」としての共通性を大事にし、両国の文化交流促進を通して、お互いの良い所を吸収する事だと思います。今、若いジェネレーションを中心に両国民が世界の平和と発展のために手を携えて行く事が何よりも大切であり、そのための文化交流促進の一つとして、願わくばこの「全国のど自慢大会」がKBS・NHK合同で開催実現ならないものかと番組を見ながら夢見ています。

 

韓国富士ゼロックス株式会社
代表理事・会長   高杉 暢也

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