経済・通商・文化側面からの韓日関係の発展

金&張 常任顧問
高杉 暢也


地理的に隣接し、歴史的に長い交流を続けている日韓両国が、今、政治・外交問題でトンネルの中に入り厳しい状況に置かれている。この葛藤がいつまで続くのか、本当にトンネルの先は見えるのだろうか?
1998年のアジア通貨危機時、韓国富士ゼロックス再建の任を負って韓国に赴任し、以来、両国のビジネスに関わり、また、文化交流を続けている観点から、持論を述べてみることにする。
結論を言えば、「経済交流」、「文化交流」、「青少年交流・スポーツ交流」、「地方自治体交流・観光交流」を推進し、政治、外交の不協和音を協和音に替えてトンネルを抜け出さねばならないということである。


¶経済交流

民主主義、市場経済主義、類似の文化を共有する日韓両国の経済協力・交流は大変重要である。日韓(韓日)経済協会 はこの46年間一度も休むことなく経済人会議を続けてきている。 日韓経済協力関係の進展を(1)日韓経済(貿易、投資)状況、(2)日韓経済協力状況から見てみたい。

(1)日韓経済(貿易、投資)状況

➀日韓貿易
これまで日韓貿易は250億ドル~300億ドル近い韓国の対日赤字が恒常的になっていた。これは日本から中間財・資本財を輸入し、それらを加工・組み立てて輸出するという韓国の産業構造に起因していた。従って、韓国の輸出が増えるほど対日輸入は増加する傾向にあった。特に、部品・素材の対日赤字が大きい。しかし、よく見ると日韓間では産業内分業型の貿易が進展して同一品目内の輸出入が行われている。 主な対日輸出製品は石油製品、無線通信機器、半導体, 鉄鋼版など。主な対日輸入製品は半導体、鉄鋼版、プラスチック製品など。
2011年度をピークに 12,13年、14年四半期と減少傾向にあるが政治・外交問題の影響ではない。

➁日韓投資
これまで日本企業にとって韓国は余り魅力的な投資先でなかった。それは産業構造が類似しているなどの理由からで、安い生産コストを求めて中国や東南アジアに投資を推進していた。しかし、2005年以降増加傾向を見せてきている。韓国企業の技術力、品質力の向上に加え、リーマンショックや大震災の影響もありで2012年度は史上最高額の投資となった。2014年度四半期を見てもサービス業、製造業を中心に前年より増加している。

(2)日韓経済協力の状況

➀日韓企業のアライアンス
日韓企業のアライアンスは(1) 新日鉄:ポスコの量産効果、 (2)JFEスチール:東国製綱の量産効果および韓国企業向け販売、(3) 旭ガラス:韓国電気ガラのス韓国企業向け販売、(4)ソニー:サムスン電子の安定的調達先確保、(5)三井住友銀行:国民銀行の相互補完、(6)東芝:LG電子の技術補完(クロスライセンス)のケースに見られる狙いで積極的に行われてきている。

➁第三国における日韓企業連携
昨今、インドネシアにおける三菱商事:韓国ガス公社のLNGの製造・販売、メキシコにおける三井物産:韓国ガス公社:サムスン物産のメキシコLNGターミナル運営事業に見られる大型の第三国における日韓企業連携が増加している。
これからの経済協力は両国の強み、弱みを相互に補完し合うことである。
46年間継続している経済人会議では直面する課題にどう立ち向かうか「有言実行」をモットーにタスクチームを作り活動を推進している。両国が直面する「少子高齢化」では人材交流と資格の共有化、「日韓企業間協力の強化」では「中小企業の共同開発基金創設」の実現に向けてなど多面にわたり活動を進めている。 政治・外交上の不協和音があっても経済交流は絶えることなく続いているのである。


¶文化交流

10年前の日韓国交回復40周年、「日韓友情年」には700件の民間交流イベントがとり行われた。そのうちの一つが「日韓交流おまつり」である。今年10回目を迎える「おまつり」は両国の老若男女のボランティアによるまさに草の根活動である。 政治・外交上の不協和音があっても日韓友好のシンボルとして続けている。このほか両国大使館や国際交流基金などの主催する文化交流も事例をあげたら枚挙に暇がない。


¶青少年交流・スポーツ交流

日韓(韓日)経済協会では日韓青少年交流事業として2004年から「日韓高校生交流キャンプ」を始め、今年で20回目、延べ1,878人が参加した。 そしてこの「日韓高校生交流キャンプ」のOB/OGにより200年に結成されたJKSFF(Japan Korea Students Future Forum) / KJSFF(Korea Japan Students Future Forum)の主催で「日韓学生未来会議」が開催されて今年8回目を迎える。
サッカー、野球、柔道、剣道、アイスホッケーなどのスポーツ交流は頻繁に行われている。


¶地方自治体交流・観光交流

日本の自治体と韓国(国家機関、自治体、公的団体など)との交流をするサポート機関・自治体国際化協会(CLAIR)が中心となって交流活動を推進している。
例えば、2013年、「日韓地方観光交流元年」として日韓交流人口700万人を目指して地方観光交流の拡大活動を開始。また、奈良市と慶州市は1970年4月に姉妹都市の締結をし、その活動は文化交流、スポーツ交流、行政交流、学校交流など多岐にわたり良いモデルとなっている。
両国の姉妹都市数は今や154を数える。


以上見るように、「経済交流」、「文化交流」、「青少年交流・スポーツ交流」、 「地方自治体交流・観光交流」は 政治、外交とは関係なく深化をし続けている。これらの交流が 政治、外交の不協和音を協和音に替えてトンネルを抜け出すエンジンとなることを確信している。

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