平成15年9月15日
在韓日本大使館領事部
ナイジェリアをはじめとするアフリカ地域を中心に多発している国際的詐欺事件(ナイジェリア刑法419条に抵触する犯罪(詐欺)を指すことから通称「419事件」と呼ばれる)については、これまでも再三にわたり注意を呼びかけてきましたが、未だに被害に遭う人が後を絶ちません。
1.事件は相変わらず発生しており、詐欺の手口も年々多様化し、犯罪形態も凶悪化しています。被害は日本のみならず、欧米、東南アジア及びアフリカ諸国など世界各地で発生しており、まさに国際的詐欺事件の様相を呈しています。
最近では、電子メールを使った詐欺グループからのアプローチも見受けられます。
2.詐欺グループから持ちかけられた取引に応じるうちに、現地での面談を申し込まれ、出向いた被害者が詐欺グループに拉致監禁される事件も発生しています。
99年6月には、南アフリカに呼び出された日本人男性が拉致監禁される事件が連続して発生し、2001年8月にも、日本人男性が同様に南アフリカで拉致監禁されました。いずれも幸い、被害者の命に別状はありませんでしたが、別の事件では身代金の支払いを拒否した外国人被害者が殺害されたケースもあります。
3.詐欺事件には主に下記のパターンがあります。
(1)マネーロンダリング型(資金洗浄型)
(2)貿易取引型
(3)入札型
(4)遺産相続型
(5)紙幣消印型
4.典型的な手口としては、詐欺グループは先ず最初に、FAXや手紙、電子メールなどで極秘の高額取引、あるいは緊急の案件であることをほのめかして、取引商談を打診します。その際に、アフリカ諸国政府機関または旧政府高官(ナイジェリア政府高官やナイジェリア中央銀行をかたる場合が多い)が関与しているかのように装い、彼らの名を悪用します。政府関連機関のレター・ヘッドが付いた偽造文書が使用されることが多いようです。
詐欺グループは取引を巧妙に進めるうちに、手続き費用、送金手数料、ライセンス料、登録料、捺印・法務費用、付加価値税、監査料、保険掛け金など様々な名目をつけて「前渡し金」を要求し、指定の銀行に数万ドル送金するよう指示してきます。
さらには、取引商談、あるいは債権の回収のためとして現地(ナイジェリアや南アフリカなど)での会見を申し出て、相手が出向いてくると、責任者が会いたいと言っているとして滞在先のホテルから連れ出し、拉致監禁の上、身代金として家族等に数万ドル送金させることを強要します。
5.なお、送付されてくるFAXや手紙などの中で「ナイジェリア中央銀行国際送金室(International Remittance
Office, Central Bank of Nigeria)」を引用する場合がありますが、「ナイジェリア中央銀行」に「国際送金室」は存在しません。ナイジェリア中央銀行も本事件に関し、注意喚起の声明を発出しています。
6.今まで取引関係がなかったのに、突然、アフリカ諸国政府機関等を名乗る者から、大型プロジェクト、あるいは高額取引を勧誘するFAXや手紙、メールなどが届いた場合は、注意が必要です。被害に遭わないように十分ご留意下さい。
また、万一現地に呼び出されても、身の安全を第一に考えて、絶対に誘いに乗らないようにしてください。
[典型的な犯罪の手口]
1.マネーロンダリング型
FAX・手紙・電子メール等で、全く面識のない海外の人間より日本の企業や個人あてに、緊急かつ極秘の高額取引を持ちかけられる。差出人は、アフリカ諸国の政府・軍・公社等の高官、またはそれらの関与を示唆し、手紙等に公的機関のレターヘッドや証書等が使われることもある。取引の内容は、政府・軍・公社の秘密資金を海外に送金するために、口座を貸して欲しいというもので、謝礼として送金資金の一部を提供する旨持ちかける。
典型的なケースとしては、「自分は石油を扱う役所の幹部(あるいは軍の幹部)であり、役所(あるいは軍)の関係した大規模契約を斡旋した手数料として大金(数百万ドルから数千ドル)を入手した。しかし、公務員(あるいは軍)という立場上、外国に口座を設けてそこに送金してもらうことは出来ない。ついては、口座名義を貸してくれれば謝礼として手数料の一部(20%から40%)を贈呈するので、署名した白紙のレターヘッドの便箋及び貴殿の銀行口座に関する情報を送付してほしい」旨持ちかける。
この他、資金の出所として、(1)ナイジェリア旧政府の貸付け返還金、旧政府凍結資金、(2)既に予算化されたプロジェクトが中止になったため浮いた資金、(3)外国企業が納入した物品の請求額を操作した裏金等と説明している場合が多い。
また、「ナイジェリア政府の多額の資金を海外の銀行口座に一時送金する必要が生じた」と持ち掛けられることもある。
上記のFAX・手紙・電子メール等を受け取った企業や個人が関心を示すと、具体的な交渉が始まるが、最終段階で送金の許可を得るために関係省庁(大蔵省、中央銀行等)に手数料ないし、賄賂を支払う必要がある(または送金するためのダミー会社を設立するに際し、法人登録料が必要である)との理由を持ち出し、数百万円から数千万円の資金の前払いを要求する。企業等が同資金を払い込むと以後の連絡が途絶える。
また、関心を示した企業の担当者や個人を現地(ナイジェリアや南アフリカなど)に呼び出すこともある。この場合、空港でVIPなみの歓迎を受け、中央銀行や軍本部等の公的機関の建物を利用した接待等を受け、その後必要経費として金を要求される。さらに、滞在先のホテル等から連れ出し、身体を拘束して所持金を奪い、企業、家族等に身代金として数万ドルの送金を強要する。なお、身代金の支払いを拒否した欧米人や、送金した資金を取り返しにきた欧米人が殺害された例がある。
2.貿易取引型
通常の商取引を装い、本邦企業に多種多様な製品の大量発注(またはサンプル発注)が寄せられる。決済手段としては、先方国や欧米系の大手銀行(主に米国銀行)の小切手や銀行手形が用いられるが、送付された小切手等は巧妙に偽造あるいは盗難にあったもので、決済不能となり、以後連絡が途絶える。
3.入札型
ナイジェリア関係省庁など政府関係者を装ったものから、FAX・手紙等で架空の政府調達の入札案件が持ち掛けられ、興味を示すと、高額の入札手数料を要求される。このケースでは、架空の官報や新聞記事が利用されることもある。また代金の支払いは、ナイジェリア以外の国で直接現金を支払うように指定されたり、その際、さらに何らかの手数料の持参を要求されることもある。
4.遺産相続型
上記「1.」と類似したケースだが、ナイジェリアなどより「現地に居住している日本人(又は外国人)が莫大な遺産を残して死亡した。同人の遺言により遺産は貴団体(または、大学、研究所等)に送られることになった」旨の話が宗教団体や慈善団体等に持ち掛けられる。相手が乗ってくると、遺産の現金化及び海外送金のために、政府機関に対し手数料や税金を支払う必要があるとして、数万ドルの送金を要請してくる。同手数料を払い込むと、以後連絡が途絶える。
5.紙幣消印型
黒く塗りつぶされた(あるいはスタンプが押された)ドル紙幣と称するものが詰め込まれたスーツケースを見せる。その中から一枚を抜き出し、液体をかけて塗料を落とし、本物の百ドル紙幣であることを実演して相手を信用させる。
スーツケースはこの他にもいくつかあると述べ、これを国外に持ち出し、液体により処理を施すには一時的に資金が必要であり、資金援助が得られれば謝礼を支払うと持ちかける。
以上いずれのケースも詐欺グループは、ナイジェリア政府高官、ナイジェリア中央銀行(CBN)、ナイジェリア国営石油公社(NNPC)、ナイジェリア電力公社(NEPA)、石油信託基金(PTF)、軍等の政府関係機関の名を騙っているのが特徴である。
(問い合わせ先)
○外務省領事移住部邦人保護課
電話番号:(代)(03)3580-3311(内線)2853
○外務省 海外安全相談センター(国別安全情報等)
電話番号:(代)(03)3580-3311(内線)2903
○外務省 海外安全ホームページ:http://www.mofa.go.jp/pubanzen/